きしゃぽっぽ
今から47年前、読谷村の古堅幼稚園に”きしゃぽっぽ”の形をした遊具がありました。
長年、園児たちに愛され親しまれてきた”きしゃぽっぽ”は、次第にボロボロになっていき、7年前、撤去寸前にまで追い込まれました。
當山伸一郎さんは、子どものころ一緒に”きしゃぽっぽ”で遊んだ、当時の園児の中の一人です。
當山さんの息子さんは、幼稚園に通い始めた頃は、集団の中でなかなか馴染むことができなかったのですが、毎日登園前に”きしゃぽっぽ”の遊具で遊んぶことで、心を落ち着かせて、幼稚園に入ることができたとのことでした。
そんな思い出のある遊具がそのまま無くなってしまうのは忍びないと、幼稚園の卒園児の友人、比嘉祐樹さんと二人で改修工事をすることを決めました。
最初はたった二人で始まった改修工事も、その様子をSNSで発信していくうちに、次第にたくさんの人が改修作業に集まるようになりました。
いつしかこの取組は「きしゃぽっぽプロジェクト」と呼ばれるようになりました。
仕上げのペンキ塗りには、卒園生やこの取組に賛同してくれた方など約80人が駆けつけました。
地元企業からペンキ、工具の貸出し、折れた煙突部分の部品、ケータリングの準備、作業員の応援等、多くの支援を得て、改修工事は2016年に無事完了しました。
しかしその後、経年劣化からか”きしゃぽっぽ”のハンドル部分が折れてしまい、遊具にはロープが巻かれ、ついに使用禁止となりました。
修復ができなくなるくらい老朽化した”きしゃぽっぽ”は、昨年2022年4月に撤去されました。
當山さんは、お世話になった遊具に、多くの人の思い出や想いが詰まった”きしゃぽっぽ”に恩返しするために、撤去イベントとして生配信ライブを行ったのです。
そして現在、この物語をたくさんの方に伝えたいと、”読谷村ノーベル平和賞を夢見る村民基金”を活用して、絵本の制作に取り組んできました。
さらに當山さんによると、絵本きしゃぽっぽプロジェクトを通して、新たな”きしゃぽっぽ”を作ろうという計画も進行中とのことです。
思い出が、新たなカタチになる瞬間を楽しみにしています。